「真に欲すべきもの」~第十戒:「欲しがること(むさぼり)」の禁止~(出エジプト 20:17 ) 1. 第十戒が特別なものであること 十戒の学びも、本日の十番目の戒めをもって最終回です。 第十戒、 17 節「あなたの隣人の家を欲してはならない。あなたの隣人の妻、男奴隷、女奴隷、牛、ろば、すべてあなたの隣人のものを欲してはならない」。 この戒めは、十戒全体のまとめであるため、他の九つの戒めとは大きく性格が異なっています。何が違うのかと申しますと、第一から第九戒は、それを破るなら、いずれも罪が明らかな行為として表に出てくるものばかりなのです。表に出れば、誰の目にも戒めの違反、つまり「罪」があったことを確認することができるものばかりです。たとえば第一戒「あなたには、わたし以外に、ほかの神があってはならない」。この「ほかの神」を心の中だけに秘めておくこともできるのでしょうけれど、多くの場合、それが外に出てきてしまうのです。すると誰が見ても、その信仰者が戒めを破っていると分かるのです。他の戒めもすべてそうです。例えば第六戒「殺してはならない」を学んだとき、心の中の憎しみも隠れた殺人であるとお伝えしましたが、それが表に出てくることがあります。人は、文字通りに肉体の命を奪うだけでなく、言葉や態度でも、肉体を殺すのと変わらないほどの深い傷を相手に負わせることができるのです。そうすると、第六戒が破られたと確認することができます。 このように第一から第九戒はいずれも、表に出てくることのある罪を扱うのですが、第十戒は違う。これは専ら心の中だけのことなのです。 「あなたの隣人の家を欲してはならない」。これは「むさぼり」「貪欲」等とも言われ、本来自分のものではないもの、そして自分のものにしてはいけないものを欲する心の中の罪です。ですから第十戒は、ひたすらに心の中だけを問題にします。なぜなら、外に出てくれば、それは他の戒めを破った罪になってしまう。例えば「隣人の家を欲しい」と思って、実際に盗ってしまったら、それは第八戒「盗んではならない」を破ったことになりますね。そのように第十戒はただ心の中だけを問題にします。そのため、他の人には分からない。たとえ私が皆さんのものをひそかに欲しいと思っても、皆さんには決して分...
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