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8月, 2024の投稿を表示しています

箱舟から出なさい(創世記8:15~22)

「箱舟から出なさい」 創世記8:15~22 今日の説教のタイトルは「箱舟を出なさい」です。その前の前は「箱舟に入りなさい」、その前は「箱舟を造りなさい」でした。ノアの行動の根拠は、いつも神さまの命令だったということがわかります。ノアは、徹底的に「神に従う人」でした。神さまが「箱舟を造りなさい」と言われれば、黙って従いました。「なぜ?」「どんな意味があるのか?」「ここはこうしたらいいのではないか?」と、自分の考えや意見を言うのではなく、神さまの命令に、「はい、わかりました」と従い、黙々と箱舟を造り始めたのです。しかも神さまがくださった設計図通りに造りました。「天窓は、こんな上で、こんなに小さくていいのか」「このドアは、どうやって閉めるのか。内側には取っ手もない」など、納得できないこともあったかもしれません。けれどもノアは、神さまを信頼していたので、神さまには、自分には理解できないけれど、深いお考えがあるのだろうと、黙って従ったのです。するとどうでしょう、天窓は、カラスや鳩を放すのにちょうどいい高さ、ちょうどいい大きさでしたし、天窓から見えるのは空だけだったので、滅んでいく世界や、一向にひかない洪水に不安になることもなく、ただ神さまを信頼して待つことができました。ドアに取手がないことも、神さまが外側から閉めてくれたので、まったく問題はありませんでした。彼は、神さまのご計画は、いつも完全だということを知っていました。人間の小さな頭で考えるより、もっと先のことを、もっとたくさんのことを考え合わせ、絶妙なタイミングでいつも導いてくださるのが神さまです。ですから、神さまのみことばに100パーセント従うのが一番良いのです。 「箱舟に入りなさい」という命令もそうでしょう。神さまは、ノアたち家族を、動物たちより先に船に乗り込ませました。ノアは思ったでしょう。「動物たちはどうするのか」「誰が乗り込ませるのか」、けれども心配無用でした。動物たちは、神さまの直接の導きの中で、自分たちで、秩序を保って、一つがいずつ船に乗り込んで来たのです。神さまは信頼できるお方です。私たちは全面的な信頼をもって、神さまに従えばいいのです。何も心配することはありません。 そして今日の命令は「箱舟から出なさい」でした。ノアはよく待ちました。水が引き始めたとわかって、鳩がオリーブの葉をくわえて帰って来てか

覚えておられる神(創世記8:1~14)

「覚えておられる神」 創世記8:1~14 皆さんは、待つのが得意でしょうか。私は苦手です。苦手というより、実はとてもせっかちです。それが娘のひとりに遺伝したようで、彼女は、カップラーメンを作るときには、お湯が沸騰するまで待てない、お湯を入れて3分が待てないらしいです。筋金入りのせっかちです。けれども、信仰の世界は「待つ」ということがキーワードになります。聖書の中には待つことによって祝福を受けた人がたくさん出てきますし、逆に待つことができなくて失敗した人がたくさんいます。聖書は、主に信頼して待つことを、一貫して教えているのです。今日の聖書箇所では、箱舟でのノアの「待つ」姿勢を見ながら学んで行きたいと思います。   さて、ノアとノアの家族は、箱舟の中で1年以上過ごすことになりました。その間、箱舟の外で起こっていたことは、まるで創世記1章の天地創造の場面を見ているようです。8章の1節には、「神は地の上に風を吹き渡らせた」とありますが、この「風」というのは、ヘブル語の「ルーアッㇵ」という言葉で、「霊」という意味も持ち、創世記1章2節でも使われています。「神の霊がその水の上を動いていた」というところです。両者の状態は非常に似ています。 それから、8章の2節には、「大水の源と天の水門が閉ざされ、天からの大雨がとどめられた」とありますが、これも1章6~7節と対比しています。「『大空よ、水の真っただ中にあれ。水と水の間を分けるものとなれ。』神は、上の水と下の水とを分けて、そこに大空(つまり空間)を造ったのでした。つまり、天の水と、地の水を制御されたということです。天と地の水をそれぞれ、神さまが御手をもって支えておられると言ってもいいでしょう。神さまは天地創造のとき以来、水を制御してきましたが、大洪水のとき、一旦その制御の御手を控えました。すると、天から水が落ち、地から水が噴き出したのです。そして40日40夜の雨が降り、更に水かさが増し続けて150日後、神さまは、再び天と地の水を制御されたということです。 こうして、「水は地の上から干上がった。」(13節)「地の面は乾いていた。」(14節)となりました。これは、創造のわざのどこに対応しているでしょうか?1章9節の「神は仰せられた。『天の下の水は一つの所に集まれ。乾いた所が現れよ。』すると、そのようになった。」という

子ろばに乗った平和の王(ルカの福音書19:33~36)

「子ロバに乗った平和の王」 ルカによる福音書 19 章 33 ~ 35 節 イエスさまが捕らえられ、鞭打たれ、十字架につけられて死を迎える直前の出来事が、今日の個所で描かれています。イエスさまのすざましいほどの受難を目前にしていると思えないほど、ほのぼのとした情景です。遠く北のガリラヤ地方からやってきたイエスさまは、その週の最初の日、多くの熱狂的な群集に、この方こそがユダヤ人の王だと歓喜をもって迎えられました。 この、いわゆる「エルサレム入城」の記事は、4つの福音書すべてに記されているので、とても重要な場面だということがわかるのですが、それぞれの福音書で視点や記述内容が多少違っています。ルカでは「ロバの子」とありますが、他のところでは、子ロバと親ロバの二頭だったとか、イエスさまがロバに乗ってエルサレムに入城されるときに敷かれた枝が棕櫚だったり、ナツメヤシだったりしますし、ルカに至っては、そのこと自体に触れられていません。ここにルカの意図が見られます。ルカは、弟子たちの群れがイエスのエルサレム入城を歓喜をもって出迎えている姿こそ記していますが、群衆が花道を作って、パレードをイメージするような華々しくイエスさまを迎える姿は描いていません。むしろ、「祝福あれ、主の御名によって来られる王に!」と大声で賛美する弟子たち(12弟子だけではなく)に対して、パリサイ派の人々が、弟子たちを黙らせてくださいとイエスさまに訴える姿が描かれているだけです。そしてその後、イエスさまは、エルサレムの都を見て、「おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら…」(42節)と、涙を流されています。こう見ると、ルカは、他の福音書記者たちとは違って、イエスさまがエルサレムに入られるときの、受難の覚悟と悲しみに集中したかったのではないかと思うのです。 イエスさまは、子ロバに乗ってエルサレムに入って行くことを決めておられました。そして、先に弟子たちを村に遣わし、子ロバを調達させるのです。しかもまだ誰も乗ったことのないロバの子という条件付きです。条件に合う子ロバを見つけたら、それをほどいて連れて来なさいと言いました。もちろん、野生のロバではありませんから持ち主がいます。黙って、ロバをほどいていると、持ち主は言うでしょう。「なぜ、ほどくのですか?」と。そうしたら「主がお入り用な

「箱舟に入りなさい」(創世記7:1~24)

「箱舟に入りなさい」 創世記17:1~24   神学校にも入学試験があるのですが、私が受けた旧約の試験に、こんなのがありました。「ノアの箱舟には、最低何人乗ったでしょう。」みなさんわかるでしょうか。同じ時に試験を受けた沖縄の林先生は、「神さまは憐れみ深いお方だから、100人ぐらいは救ったと思います」と書いたらしいですが、実は答えは8人です。ノアとノアの奥さん、3人の息子とそれぞれの伴侶を合わせて8人です。   ノアは神さまの指示された設計図通りに箱舟を造りました。6章22節には、「ノアは、すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った。」とありますから、ノアは全長135メートルの三階建ての大きな箱舟を多くの時間と労力を費やして、家族で力を合わせて造ったのです。このあとを見ると、1年以上大洪水の中、漂流するわけですから、少しの水漏れも許されません。ノアたち家族は、とにかく神さまからいただいた設計図に忠実に、慎重に箱舟を造ったのです。そして、いよいよこの大きな箱舟が完成し、神さまは「あなたとあなたの全家は、箱舟に入りなさい」と言われました。そして、あと7日経つと大雨が降り始め、それは40日40夜続くと告げたのです。 7章では雨の降り始めの様子が、詳しく書かれています。それはノアが600歳のときでした。まずは、神さまはノアの妻、それに息子たちと彼らの妻たちを箱舟に乗り込ませました。それから、6章20節で、「鳥は種類ごとに、動物も種類ごとに、また地面を這うすべてのものも種類ごとに、それぞれ二匹ずつが生き残れるよう、あなたのところに来なければならない。」と神さまが動物たちに直接命じていますが、果たしてその通りに、動物たちがぞろぞろと箱舟に乗り込んできたのです。ちなみに2節、3節を見ると、きよい動物と空の鳥は7つがいずつと指示されますが、それはなぜなのか、後になってわかります。ノアは、地上の乾き具合を見るために鳥を放っていますし、また水が引いて地上に出るとすぐに、きよい動物の中から神さまへのささげものを準備して、礼拝しています。また、ノアたちの食料としても必要だったようです。こうして、動物たちは7日間かけて箱舟に乗り込み、16節を見ると、神さまは、最後の一つがいが箱舟に入ると、はい、ここまでと、後ろの戸を閉ざされました。よく、人気のお店などが、限定販売をしてい